日産車体株式会社取締役社長の冨山でございます。
2026年3月期の我が国経済は、緩やかに景気が回復している一方で、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響等に留意する必要がありました。当社グループを取り巻く環境は、米国を中心とした通商問題による世界経済を通じた間接的な影響に加え、第4四半期に起きた中東情勢の影響に注視する必要がありました。
このような環境において、当社が日産自動車株式会社から受注しております自動車の売上台数は、主に前連結会計年度に生産を開始した新型「パトロール」及び新型「アルマーダ」の増加等により、前年同期と比べ5.6%増加の154,668台となりました。売上高は、台数増加の影響等により、15.2%増加の4,038億円となりました。
損益面では、営業利益は台数増加の影響に加え、生産効率が向上したこと等により前連結会計年度と比べ175.1%増加の141億円、経常利益は157.9%増加の150億円となりました。特別損益では、当社湘南工場のサービス部品生産への事業転換に伴い、当社固定資産の減損損失26億円及び当社グループ全体で約800人の対象者を前提に合理的に見積った人事施策にかかる費用として事業構造改革引当金繰入額21億円等を特別損失に計上いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は127.3%増加の68億円となりました。
当社は、「気候変動への対応の必要性」、「市場のニーズの変化」、「企業に求められる社会的責任の高まり」、「労働人口、従業員の意識の変化」などの環境変化を認識し、2023年4月に2023-2027中期経営計画をスタートさせました。
目指す姿を、「商用車とプレミアムカー、特装車、サポート事業で社会に貢献し、お客さまから頼られる唯一無二の存在となる」と定め、次の3つの主要事業の拡大を図っております。
「商用車とプレミアムカー」では、多様化するお客様のニーズと市場要件に対応し、売上台数拡大を図っております。
「特装事業」では、日産車に留まらず、他メーカーの軽自動車からトラックまで幅広く展開すると共に、営業体制を強化することにより、売上拡大を図っております。そして、「サポート事業」では、実験評価や設計・試作業務においても受託領域を日産自動車以外に拡大することで、今後も幅広いお客様のニーズに応えてまいります。
湘南工場は、2027年3月末の量産車の生産終了を予定している中、現有設備や技術・技能を活かせること、また、当社生産車だけでなく、海外を含めた他メーカーのサービス部品を取り込むことで、事業の拡張性・継続性が期待できることから、サービス部品生産工場へと転換することを決定いたしました。引き続き、湘南地区の強みを活かして、事業のさらなる拡大を図ってまいります。
これら3事業の取り組みを通じて、売上及び利益の向上を図り、企業価値最大化に努めてまいります。
また、前述した主要事業で目指す姿を具現化するため、2023-2027 中期経営計画では、「持続可能な企業基盤」、「魅力ある商品の創出」、「独自性の進化と深化」の3つを重点課題として取り組んでおります。
1つ目の柱は、「持続可能な企業基盤」です。
本中期経営計画では、「持続可能な企業基盤」を活動の柱の中心に掲げ、ESG課題に取り組み、サステナビリティを中心に据えた事業活動を推進しております。
まず、2050年カーボンニュートラル達成に向けた取り組みでは、台当りCO2排出量を、2030年までに2018年度対比で52%削減することを目標とし、これまでに、照明のLED化や使用電力の可視化、「グリーン電力」への切り替えを実施してまいりました。また、本館屋上にソーラーパネルを設置するなど、積極的な再生エネルギーの活用に取り組んでおります。
DE&Iの取り組みでは、女性活躍を推進する企業が取得できる「えるぼし」や、仕事と育児の両立支援に、特に優れた取り組みを行う企業が認定される「プラチナくるみん」を継続して取得しております。2025年度は、育児と仕事の両立を支援する休暇制度の新設や、多様な価値観の共存を目指して、パートナーシップへの対応を開始いたしました。
2つ目の柱は、「魅力ある商品の創出」です。
日産車体九州で生産している高級SUVは、フルモデルチェンジを実施して約2年が経過しましたが、中東を中心に高い人気を博しており、2026年3月には、「パトロール」と「アルマーダ」が「iF(アイエフ)デザイン賞」を受賞いたしました。
また、ハイパフォーマンスモデルとして、それぞれNISMO仕様の生産を開始し、2025年7月より販売を開始いたしました。
加えて、16年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型「エルグランド」は、第3世代へと進化したe-POWERと、e-4ORCE、新世代アクティブノイズコントロールにより、静粛性、高い燃費性能、快適な乗り心地を実現しております。
新型「エルグランド」は、様々なメディアでも取り上げられ、大変ご好評をいただいております。万全な体制で、高品質な車両を生産してまいりますので、ご期待をいただきたく存じます。
商用車では、「キャラバン」と「NV200バネット」のマイナーチェンジを実施いたしました。「キャラバン」は、安心・安全・快適さを支える、インテリジェントクルーズコントロールや、9インチナビゲーションの設定を追加し、「NV200バネット」は、「ドアロック連動格納機能付ドアミラー」などを装備いたしました。
特装車の高規格救急車「パラメディック」は、人工呼吸器や除細動器などが搭載されている高機能な救急車になります。患者搬送時の負担を軽減する電動ストレッチャーや、プライバシーの保護が可能な電子シェード等、医療行為をサポートできる機能を搭載しております。
また、日産車体と特装事業専門の子会社であるオートワークス京都が、企画、開発いたしました、簡易宿泊車「tabicafe」を2026年より発売いたしました。「キャラバン」をベースに、明るいインテリアと、大きなベッドを装備し、二人とペットが、車内でゆっくりとカフェをしながら、くつろげる空間を演出しています。
EV架装においては、2025年10月にヤマト モビリティ&Mfg.株式会社とオートワークス京都が業務提携し、信頼性の高い国産中古トラックを、EVに改造するビジネスを開始し、環境対応の推進に貢献しております。
今後も官公庁向けをはじめとした幅広い特装ニーズに応え、商品力強化を図ってまいります。
最後となる3つ目の柱が、「独自性の進化と深化」になります。
湘南工場は、サービス部品生産工場へと転換致します。現在、駆け込み需要にお応えするための増産を実施しており、最後の1台まで、しっかりお客様にお届けできるよう、取り組んでおります。
また、極少生産量の部品成形やヘミング、トリミング、穴あけ加工において、専用金型や専用治具を用いず成形できるダイレスヘム、インクリメンタル成形、3Dレーザー切断機の技術開発に取り組んでおり、既に一部は、現在の湘南工場におけるサービス部品生産工程で実用化されております。これらサービス部品生産に特化した、工法の技術開発を推進し、事業拡大と収益改善を図ってまいります。
日産車体九州では、フレーム3車種が好調で、2025年12月末より、3班3交替勤務を開始いたしました。また、モノコック車とフレーム車の混流生産では、稼働率向上を目的に生産ラインのシミュレーション解析を実施し、ボトルネック工程の早期改善に取り組んでおります。また、各工程の設備稼働率に応じた能力を検証することによって、設備保全、点検内容を最適化し、生産ロスの更なる低減を推進してまいります。
引き続き、直行率・稼働率の改善を進めるとともに、中東情勢不安を始めとする国際的な地政学リスク、継続するインフレなどの外部環境の変化に注視しつつ、必要な措置を講じることで、1台でも多くかつ迅速にお客様にお届けできるよう取り組んでまいります。
2023-2027中期経営計画の4年目にあたり、株主様、お客様、取引先様、地域社会の皆様、そして従業員を含むすべてのステークホルダーの皆様からの信頼を高められるよう、引き続き当社の強みである、開発から生産まで、一貫したモノづくり体制を活かし、市場の動向に柔軟に対応できる生産運営の構築、並びに法令遵守やコーポレートガバナンス強化に全社一丸となって取り組んでまいります。
2026年6月
| 2025年3月期 実績 |
2026年3月期 実績 |
|||
| 売上高(億円) | 3,505.0 | 16.4% | 4,038.0 | 15.2% |
| 営業利益又は営業損失(△)(億円) | 51.4 | 425.7% | 141.6 | 175.1% |
| 経常利益又は経常損失(△)(億円) | 58.4 | 319.9% | 150.8 | 157.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)(億円) |
30.3 | 645.1% | 68.9 | 127.3% |
| 売上台数(千台) | 146.5 | 5.3% | 154.6 | 5.6% |
当連結会計年度の我が国経済は、緩やかに景気が回復している一方で、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響等に留意する必要がありました。
当社グループを取り巻く環境は、米国を中心とした通商問題による世界経済を通じた間接的な影響に加え、第4四半期に起きた中東情勢の影響に注視する必要がありました。
このような環境において、当社が日産自動車株式会社から受注しております自動車の売上台数は、主に前連結会計年度に生産を開始した「新型パトロール」及び「新型アルマーダ」の増加等により、前年同期と比べ5.6%増加の154,668台となりました。売上高は、台数増加の影響等により、15.2%増加の4,038億円となりました。
損益面では、営業利益は台数増加の影響に加え、生産効率が向上したこと等により前連結会計年度と比べ175.1%増加の141億円、経常利益は157.9%増加の150億円となりました。特別損益では、当社湘南工場のサービス部品生産への事業転換に伴い、当社固定資産の減損損失26億円及び当社グループ全体で約800人の対象者を前提に合理的に見積った人事施策にかかる費用として事業構造改革引当金繰入額21億円等を特別損失に計上いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は127.3%増加の68億円となりました。