日産車体九州の工場は、年間約12万台の生産能力を持つ、日産グループの「ものづくりのベストプラクティス」のすべてを織り込んだ工場で、目覚しい発展を続けるアジア地域との物流メリットが大きい北九州地区に立地しています。
INFINITI「QX80」
この工場では、プレミアムブランドのINFINITI「QX80」、中近東向けのSUV「パトロール:Y62」、「パトロール:Y63」、 国内向けのミニバン「エルグランド」、北米向けの SUV「アルマーダ」、商用バン「キャラバン」の6車種を生産。日産グループの国内工場では、フルサイズの大型SUVや大型ミニバンの生産が可能な唯一の工場としての役割を担っています。
なかでもプレミアムブランドであるINFINITIには厳しい品質基準が設けられています。その生産を認められているのは現在、全世界で5工場のみとなっており、日産車体九州ではゼブラ照明塗装検査ラインでの塗装品質確認や四輪加振機試験による音振確認を生産するすべてのクルマに実施し、妥協のない検査品質を堅守。さらに各工程を担う熟練した従業員たちの確かな技能の結集により、INFINITIブランドの品質確保に努め、世界的な 市場調査においてもトップ品質を獲得しています。
日産車体九州は、グローバル展開している日産グループにおいて、Q(品質)・C(コスト)・T(納期)の総合力で、ベンチマークとなる工場を目指し、実現に向けて取り組んでいます。
ローラーヘミングラインによるエンジンフードの生産
日産車体九州の工場では、湘南工場における長年のクルマづくりのノウハウを基盤に、ロボット技術を取り込んでいます。たとえば、従来のプレスによる成型に比べ、高精度・高品質で美しい仕上がりを生み出すローラーヘミングラインの導入などが挙げられます。主な施設としては、ローラーへミングラインの導入、AGVを活用したフレキシブルラインが特徴の車体館、塗装技術「3WET塗装」の導入により高品質と環境性能を実現させた塗装館、湘南工場のノウハウを受け継いだフレーム車とモノコック車の混流ラインをさらに進化させ、生産車すべての四輪加振検査を行うなど徹底した品質管理を特徴とする組立館などがあります。
環境負荷を削減するための水系3WET塗装
日産グループでは、日産自動車の環境理念である「人とクルマと自然の共生」に協調していくためにさまざまな取り組みを行っています。もちろん日産車体九州においてもこの理念を実現するために環境への配慮を隅々まで行き渡らせています。たとえば、「3WET」塗装の採用によるCO2排出量の低減、「リサイクル設計ガイドライン」に基づくクルマの設計などです。また、ロボットによる自動化が難しいとされる組立工程では、作業者の負担軽減のために助力装置を導入するなど、人に優しい環境をつくりだしています。
車体の溶接工程においては、ベルトコンベヤーを排除。ボディをすべてAGV(無人搬送車)によって運ぶことで大がかりな生産設備を実質上なくし、フレキシブルな生産ラインを実現しました。また車両組立工程では基本構造の異なる車種を一つのラインでつくる、多車種混流生産を可能にしました。